太陽光電源で動く遠隔監視装置 — T-SIM7080-S3 を使った次世代 Renogy モニタリング端末
私は天体観測を趣味としており、
山間部や海岸沿いなど 商用電源の無い場所に観測所を設けて撮影を行う方々が年々増えていることを実感しています。
最近では、
- 小型ドームを設置したリモート天文台
- Starlink や LTE を用いた遠隔操作
- 太陽光+蓄電池による完全オフグリッド運用
といったケースも珍しくありません。
そうした環境では 「電源設備の健全性を常に把握できること」 が極めて重要になります。
今回製作したのは、
太陽光発電設備を LTE-M で遠隔監視する低消費電力 IoT 端末です。
■ 想定用途 — リモート天文台の電源監視に
本システムは次のような用途を想定しています。
- 山奥の撮影地に設置した太陽光電源の監視
- バッテリー残量(SOC)の遠隔把握
- 曇天続きによる電力枯渇の予兆検知
- 充電状況・異常状態の自動通知
- 現地に行かず状態確認
「今日は出発して良いのか?」
「昨夜の撮影で電池を使いすぎていないか?」
そうした判断材料を 自宅から確認できる ことが狙いです。
■ システム全体構成
【T-SIM7080-S3 監視端末(試作2号機)】
太陽電池(Renogy) ── Renogy MPPT ── 蓄電池(Renogy)
│
RS485(M5stack)
│
T-SIM7080-S3 (LTE-M)Lilygo
│
LTE回線(ソラコムLTE-M)
│
Webサーバー(さくらレンタルサーバー)
- 制御基板:T-SIM7080-S3
- 通信:LTE-M (SORACOM)
- RS485:絶縁型変換モジュール
- サーバー:mountain-side.jp
- 送信周期:10分
- DeepSleep運用
■ 初号機からの進化
今回の端末は 2世代目 になります。
|
項目 |
初号機 |
今回 |
|
MCU |
ESP32-DevKit |
ESP32-S3 |
|
LTE |
外付SIM7080 |
オンボード |
|
消費電力 |
やや大 |
最小化 |
|
電源制御 |
固定ON |
PMU制御 |
|
複数台管理 |
△ |
◎ |
|
実運用向け |
試作 |
完成形 |
【初号機】
■ 低消費電力への徹底したこだわり
オフグリッド天文台では 消費電力=稼働日数です。
今回の設計方針は:
- LTE通信は必要な時だけ起動
- 送信後は完全シャットダウン
- モデム主電源は PMU で遮断
- ESP32 は DeepSleep
- 周期送信は最短時間で終了
【消費電流測定の様子】
■ 配線構成
RS485通信は 絶縁型を使用し、雷害やノイズ耐性を確保しています。
Renogy RS485
│
U094 RS485-ISO
│ UART2
RX → GPIO18
TX → GPIO17
│
T-SIM7080-S3
【使用機材】
■ 取得データ
- SOC(%)
- バッテリー電圧
- 充放電電流
- 太陽電池電圧
- 発電電力
- 故障ビット
これらを JSON で送信し、サーバーで可視化しています。
■ Webダッシュボード
【ダッシュボード画面】
- 複数地点同時表示
- デバイス別切替
- 時系列グラフ
- 異常通知メール
- 無通信アラート
■ 天体観測ファンへのメッセージ
山奥に設置した観測設備は、
- 天候急変
- バッテリー枯渇
- 通信断
- 積雪
といったリスクと隣り合わせです。
本システムは、
「次に現地へ向かう判断材料を得る」
ための装置でもあります。
また、本システムは低コストで維持可能できます。
さくらレンタルサーバーは、標準コースの税込み660円/月で問題ありません。
ソラコムのLTE通信は、385円/月です。
それぞれのコンソールも無料で利用できますから運用も安心して行えます。
□さくらインターネット https://rs.sakura.ad.jp/
□ソラコム https://soracom.jp/
■ 今後の展開
- 気象センサー連携
- ドーム制御状態監視
- カメラ遠隔再起動
- Web UI強化
- 複数地点管理
■ まとめ
今回の製作により、
- 太陽光天文台向け電源監視
- LTE-M低消費電力端末
- RS485絶縁
- 実運用仕様
- 複数拠点管理
という フィールド運用前提の監視装置実現にむけて製作してまいります。








