天体写真でのコンポジット方法(Adobe PhotoshopとLightroomを使用)

天体写真では淡い光を捉えることが多く、複数枚に分けて撮影した画像データを足しこんだり、平均化したりして画像をよりはっきりと、より滑らかにするコンポジットという手法が使われます。コンポジットは、天体用専用ソフトや汎用写真編集ソフトなどで行うことができますが、最もメジャーな写真編集ソフトであるAdobePhotoshopLightroomを使って説明します。
Photoshopは、以前からプロ、商用向けのフル機能版と個人、趣味向けのElements版があります。フル機能版は、以前は1ライセンス150,000円程度の費用で購入して使用する形態でしたが、今はCC(クリエイティブ・クラウド)版の提供により個人でもLighttoomと併せてフォトグラファー向けフォトプランを利用することにより月々980円で利用することができるようになり大変身近なソフトウエアになりました。
https://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html
月単位で契約ができますから、試し使いにも便利なサービスです。

天体写真でのコンポジット方法
Adobe PhotoshopLightroom

撮影はデジタルカメラで行い、記録はRAWで行います。RAWは、未現像のデータで撮影したすべての情報が含まれた画像記録形式です。カメラメーカー、機種ごとに形式が異なるようなので、Photoshop、Lightroomで読み込めるかは先に確認する必要があります。最新型のカメラなどはメーカーが出す情報を確認してください。

◆LightroomでRAWデータの読み込み

Lightroomを起動します。
下段にあるライブラリの読み込みボタンをクリックして撮影データを指定します。



◆現像する

読み込んだ画像データの代表画像一つを選択します。下段のサムネイルをクリックするとその画像が中央のウインドウに大きく表示されます。
Lightroomの機能を用いてホワイトバランスを整えます。
必要に応じてその他も調整してください。

代表画像に施した現像パラメータを使ってその他の画像も現像を行います。
まず、代表画像のサムネイル上で右クリックを行い表示されるショートカットメニューから「現像設定」-「設定をコピー」を選択します。

表示される「設定をコピー」ダイアログボックスは、設定した現像パラーメータの項目にチェックマークがついていることを確認して「コピー」をクリックします。

次に同様に現像したい他の複数のファイルを選択します。
その後、その選択したサムネイル上で右クリックを行い表示されるショートカットメニューから「現像設定」-「設定をペースト」をクリックします。
全ての画像が同一の現像パラメータで現像されました。

現像が終わったら、各撮影データのチェックを行います。
コンポジットに不適切な画像データがある場合には削除します。
※ここでは、ガイドミスの画像が11枚中6枚ありましたので、その6枚を削除しました。残りは5枚。
削除も不要画像のサムネイル上で右クリックを行い表示されるショートカットメニューより削除を選択してください。
※その後表示されるダイアログボックスでは、元画像データを完全に削除しないのであれば「消去」を選択してください。

◆Photoshopへデータの受け渡し

現像された画像データをPhotoshopへ受け渡します。
5枚の画像データは、5層のレイヤへ転送します。
受け渡す5枚の画像データをしています。
その後、サムネイル上で右クリックを行い表示されるショートカットメニューより「他のツールで編集」-「Phptpshopでレイヤーとして開く」を選択してください。Photoshopへの転送が開始されるとPhotoshopが起動し次々とレイヤが作成され画像が読み込まれてきます。

◆コンポジット前準備(位置合わせ)

天体写真の場合、日周運動で移動する天体を撮影している場合がほとんどですので、どうしても各画像のレイアウトはズレがあります。このままコンポジットを行うと二重三重写りのような写真が出来上がってしまいます。それを防ぐために事前に位置合わせを行います。

5層のレイヤを選択します。

メニューバーより「編集」ー「レイヤーを自動整列」を選択します。

表示されるダイヤログボックスは、「自動設定」を選択してOKをクリックします。

終了すると画像枠がずれて見えます。

◆いよいよコンポジット

コンポジット操作に入ります。
まず、スマートオブジェクトへの変換を行います。
メニューバーより「レイヤー」-「スマートオブジェクト」-「スマートオブジェクトに変換」を選択します。

変換が終了するとレイヤータブ内のサムネイルが「スマートオブジェクトサムネイル」に変化します。

コンポジットを実行します。
今回は、平均値による加算を行います。
レイヤータブ内のスマートオブジェクトサムネイルを選択後、メニューバーより「スマートオブジェクト」-「画像のスタック」-「平均値」を選択します。

コンポジットされた画像が表示されます。
一枚の画像に比べて明らかにノイズ量が減り画像諧調が深くなった事が確認できます。
<コンポジット後の画像>

<元の一枚画像>

コンポジット後は、レベル調整など編集を行ってください。

PhotoshopおよびLightroomは、Adobe社の製品です。
本情報は2018225日に執筆しています。
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